コラム

不動産管理会社の不動産保有方式の特徴や導入で注意すべきポイント

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不動産管理会社の収益の計上方法には主に以下の3パターンがあります。

運営方式 内容
管理委託方式 所有者である不動産オーナーが不動産管理会社に管理業務を委託する方式。
一括賃貸方式 不動産管理会社がオーナーから物件を一括で借り上げ、自ら賃貸業者として運営する方式
不動産保有方式 不動産管理会社が物件を所有者である社長から所有権移転を受け、自ら所有する方式。

このうち、不動産保有方式についてポイントを説明します。

社長個人が保有している不動産の管理のために設立した不動産管理会社で不動産保有方式による収益計上を行うために行うべき動きとしては以下の通りです。

1)社長個人から不動産管理会社に建物を売却(または現物出資)

2)社長個人と不動産管理会社の間で土地の賃貸借契約

土地ごと不動産管理会社に移転することも可能ですが、土地は建物に比べて移転コストが高いため、ここでは建物のみを移転したことにしてあります。

ここで重要になってくるのが売却や現物出資を行う場合の価格の決定です。時価に比べて50%未満の金額で社長個人から不動産管理会社に対して売却(または現物出資)した場合には時価で譲渡したものとして所得税を計算しなければならなくなります。

そのため、時価の算定が重要になってきます。固定資産税評価額が一般的には建物の時価として扱われるケースが多いですが、あまりにも実態と乖離しているようなケースでは、標準的な建築価額などを用いたり、規模の大きな建物であれば不動産鑑定士に依頼したりして、適正な時価を算出することも検討します。

次に譲渡の方法です。

売却と現物出資のパターンが主に考えられますが、会社に資金がなければ金融機関からの融資も検討する必要があります。ただし、オーナー所有の不動産を不動産管理会社名義にするといった名目で不動産管理会社が融資を受けることが難しければ、資金不要で移転できる現物出資を検討することになります。

建物のみを不動産管理会社に移転した場合に必要な届け出

もう一つ、建物のみを不動産管理会社に移転した場合に注意すべきポイントがあります。それが無償返還の届出です。

建物と土地の所有者が異なる場合、建物の所有者には借地権という権利が発生しています。この借地権は土地の所有者による土地の処分に大きく制約をもたらすため、通常であれば建物の所有者から土地の所有者に対して借地権取得の対価として権利金の支払いが発生します。しかし、社長が不動産管理会社に建物を譲渡するケースで実際に権利金の支払いをするケースは珍しく、代わりに税務署に無償返還の届出を提出する方法が採られることが多いです。

この届出書を提出しておかないと、本来払うべき権利金を支払っていないということで社長個人から不動産管理会社に対して権利金を免除したということで権利金の認定課税(受贈益)が発生することがあります。

家賃をとるべきかどうか

もう一つの問題が、社長個人が不動産管理会社から地代を取るべきかどうかということです。適正な地代を取っていれば社長個人に相続が発生した場合に土地の評価減の特例を受けることができます。その代わり、地代に対して社長個人が不動産所得として所得税が課税されます。

一方で、地代を取らない使用貸借の場合は、所得税は発生しない代わりに、相続発生時の評価減の特例が使えません。

この辺りは土地の評価額や社長個人の資産状況を見て選択してくことになります。

不動産管理会社を設立して、社長個人の不動産を会社に移転したい場合はお気軽に当事務所までご相談ください。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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