会社の登記で過料が課されるケースとは?
会社関係の登記は、「○○してから2週間以内に登記申請しなければならない」と定められているものがいくつかあります。会社の登記は、会社の状態を世の中に公示するための制度で、実態と異なる状態の登記が放置されることは登記制度の趣旨に反することで、速やかな登記変更を行うことは大切なことです。
しかし、実際には、登記が2週間以内に申請されないことは、しばしば起こります。そこで、あまりに登記が遅れれば、それは会社法違反として過料の対象になります。この場合、法務局から地方裁判所に対して過料の申し立てが行われます。
最も多いケースは、株式会社の取締役が任期満了となったにもかかわらず、登記変更が行われていないケースです。
2週間を1日でも超えてしまうと過料がかかってしまうといったシビアな世界ではありませんが、例えば6か月程度遅れた場合には過料がかかるケースがあります。
過料がかかるかどうか以前に法律で2週間以内と定められているので、2週間以内に登記申請すべきではありますが、万が一遅れたとしても即過料というわけではないということです。
役員の選任が遅れた、もしくは重任の登記が遅れたといったケースでの過料の相場は3万円です。
過料が課されてから納付までの流れ
法務局から地方裁判所に過料を科すべきとして申し立てが行われた場合、地方裁判所で過料が決定された場合以下のような文章が会社宛てに届きます。
いきなりこのような文面が届くのでびっくりしますが、実際にいきなり届きます。(登記申請が半年程度遅れたのであれば、その段階である程度の覚悟はしておくべきです。)
ただし、過料の納付事務は検察庁が行っています。地方裁判所はあくまで過料の決定を行うだけで、実際の過料の納付は、数日後に検察庁から送られてくる納付書で納付を行うことになります。
過料とは、刑事罰である罰金や科料と異なり、行政罰であるため、収納事務は裁判所の管轄ではないのです。
過料が課された場合は異議申し立ても可能
登記が遅れる理由はさまざまです。過料の決定は、登記申請が法定の期間内に行われなかったという形式的な面から行われますので、実際と異なっていれば、地方裁判所に対して異議申し立てをすることもできます。
異議申し立ては過料の決定通知を受け取ってから1週間以内に行う必要があります。異議申し立てを行えば改めて裁判が行われますが、異議が認められなければ、結局過料を支払うことになります。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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