コラム

出資者の責任とは?有限責任・無限責任、間接責任・直接責任の違いとは?

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出資者の「責任」とは?

会社には株式会社をはじめ、合同会社や合名会社、合資会社などあらゆる形態の会社に言えるのは、出資者がいるということです。出資者とは会社を設立するにあたっての最初の元手を提供する人(または法人)のことです。

会社に出資するということは、つまりその出資を元手に会社が利益を稼ぎ出して、その利益の分配を受ける権利をもらうということです。このことは出資者(株主)と経営者が法的には分離している、つまり所有と経営が分離している株式会社であっても、出資者(社員)=経営者、つまり所有と経営が分離していない合同会社や合名会社、合資会社であっても同じことです。

こうした出資者も会社形態によってその責任の範囲が変わってきます。出資者についての「責任」という言葉は、会社がうまくいかなくなったとき、つまり解散清算を行うような事態になったときに、どの程度まで金銭的な責任を負うべきなのかということを意味しています。

有限責任と無限責任の違い

出資者が負う責任には有限責任と無限責任の2パターンがあります。有限責任とは、出資者は出資額の限度で責任を負えばよいということです。一方の無限責任とは出資額にかかわらず会社の債務を弁済する必要があります。

有限責任社員は、株式会社の株主や合同会社の社員、合資会社の有限責任社員が負うことになります。無限責任社員は、合名会社の社員や合資会社の無限責任社員が負うことになります。

間接責任と直接責任の違い

直接責任は、会社の債権者から直接、責任の追求を受けます。これに対して間接責任とは、会社を通して責任を追及されるに過ぎないということを意味します。

会社の形態は4パターンありますが、実際はほぼすべてを株式会社と合同会社が占めています。株式会社や合同会社では、株主や社員になる前に出資のすべてを履行しておく必要があります。そしてその履行した出資額の限度で責任を負うということは、株主や合同会社の社員は出資した後に会社債権者から直接責任を追及されることは一切ありません。そのためこれらの出資者が負うのは間接責任です。

あまり事例はないですが、合資会社の有限責任社員は出資の履行はいつでもよいので、出資が完了するまでは直接有限責任を負います。出資を履行した後の合資会社の有限責任社員も間接有限責任に切り替わります。

一方で無限責任社員は直接責任を負います。無限責任社員はその名の通り会社と一体化しているような存在なので、会社の債務は自分の債務といった形になります。

ただ、間接有限責任といっても、小規模な会社では代表取締役が出資者を兼ねていることがあります。そして代表取締役が借入金その他の債務について連帯保証を行っているようなケースでは出資者の立場としては間接有限責任であっても、連帯保証した代表取締役の立場として直接無限責任を負うことがあります。間接有限責任という言葉はあくまで出資者としての立場から見たものだということをしっかりと認識しておく必要があります。

表でまとめると以下のようになります。

出資者 責任
株式会社 社員 間接有限責任
合同会社 社員 間接有限責任
合資会社 有限責任社員 間接有限責任

(出資の履行が完了するまでは直接有限責任)

無限責任社員 直接無限責任
合名会社 社員 直接無限責任

 

持分会社の出資者の責任については以下のように定められています。このうち、2項目は合資会社の有限責任社員のための規定になります。

会社法 第580条
  1. 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
    一 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
    二 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
  2. 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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