コラム

会社設立後の現物出資で検査役の調査が不要なケース

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株式会社の現物出資では原則として検査役が必要

株式会社が増資する場合、お金を振り込んで増資する方法のほかに、現物出資、つまりお金の代わりに、モノや権利を会社に譲渡することで増資を行う方法があります。この現物出資については、その価額が適正かどうかを判断するために、検査役による調査が必要とされています。しかし、例外的に現物出資による増資について、検査役の調査が必要ないケースがあります。

ちなみに、合同会社であれば現物出資の場合に検査役の選任は、その金額やモノの種類に関わらず不要です。

検査役の調査が不要なケース

検査役の調査が不要なケースは、以下の5つのパターンがあります。

引受人に割り当てる株式の総数が発行済み株式総数の10分の1を超えない場合 例えば、100株発行済みの会社が増資する場合で、新規発行する株式が10株までであれば、検査役の調査は不要です。会社設立時の検査役の調査不要の要件にはない、会社設立後特有の条件です。
現物出資財産の価額の総額が500万円を超えない場合 現物出資の財産の価額として会社で計算した額が、一回の増資の決議あたりで500万円以下であれば検査役による調査が不要となります。中小企業での現物出資では、実務上よく当てはまる条件です。
現物出資財産が有価証券であり、市場価格がある場合 上場株式などを現物出資するケースが考えられます。
現物出資財産について、弁護士や不動産鑑定士による証明を受けた場合 このケースでは費用が掛かるので、中小企業ではあまり実例のない方法です。
現物出資財産がその会社への金銭債権であり、その金銭債権の価額が負債の帳簿価額を超えない場合 デット・エクイティ・スワップのケースを想定しています。

現物出資の際に検査役の選任を行うとなると、費用も日数もかかります。できる限り、上記の要件に当てはまる形で現物出資を行うことをオススメします。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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