公告方法の決定

公告とは?

公告は、会社法に定める一定の事由が発生した場合に、株主や債権者に広くそのことを知らせるために行うものです。

公告方法には、会社法で以下の3つが認められています。
1)官報

2)日刊新聞

3)電子公告(インターネット)

公告方法は定款に定めますが、定めなかった場合は自動的に公告方法として官報を選択したものとされます。小規模な企業では、官報での公告が最も件数が多いです。

公告が必要となるケース

公告が必要なケースは以下の通りです。

1)株券の廃止、株券の提出、単元株式数の設定、株式譲渡制限の設定、株式併合、株式分割など既存株主に変更をもたらす定款変更を行う場合

2)株式交換や株式移転、事業譲渡などの組織再編を行う場合

3)決算公告

4)債権者保護手続き(解散、減資、組織変更などを行う場合)

5)臨時株主総会の基準日の設定

中でも、全ての会社に当てはまるのが、決算公告です。会社法上、株式会社は定時株主総会で決算を確定させた後、貸借対照表(会会社法上の大会社(資本金5億円または負債総額200億円以上)は損益計算書も)を公告する必要があります。

それでは実際にすべての株式会社が決算公告を行っているのかといえば、そうではありません。例えば官報で決算公告をするとなるとそれだけで10万円程度の費用がかかります。日刊新聞だと、もっと高額です。

会社法上の規定は義務となっていますが、実態は多くの中小企業では決算公告を行うのは必要に迫られて行っているというのが実情です。例えば減資や合併などを行う際にはその前提で決算公告が必須となっていますので、そうしたときにようやく決算公告を行うといったケースが多々あります。

電子公告(インターネット)のケース

官報や日刊新聞で公告する場合は費用が掛かるのであれば、電子公告にしておけば安くなるのではないかという気もします。確かに自社のサイトに決算書をアップしておくだけでよさそうな気もします。しかし、実際には電子公告は、官報や日刊新聞のように客観的な掲載日が証明できないケースもあるため、専門の調査機関に公告期間中に正しく掲載が行われているか費用をかけて調査してもらう必要があります。もしくは、公告のURL自体を第三者の専門業者のサイトに設定して公告の都度掲載料を支払うといった方法もあります。

いずれにしても、電子公告だからといってお金がかからず、手軽であるというわけではないということを知っておきましょう。

ちなみに、電子公告を行っている会社は法務局の電子公告システムによってURLなどを検索できるようになっています。
https://e-koukoku.moj.go.jp/

また、通常の公告方法とは別に、貸借対照表の公告について別にURLを定めることもできます。この場合、通常の公告は官報や日刊新聞、貸借対照表のみ電子公告といったことも可能です。

新着コラム

  1. 事業目的を定款に記載するときの「及び」と「並びに」の違い定款に事業目的を記載するときは、法律...
  2. 会社設立前に資本金を使えるケース会社の設立を決めてから会社設立を実際に登記申請するまでには一...
  3. 一人で出資して一人で代表取締役となっている会社は数多くあります。
  4. 合同会社に「社員総会」は存在しない株式会社では投資家の意思決定は株主総会で行います。
  5. 役員重任する際の株主総会のパターン株式会社では、取締役の任期は最長でも10年間と定められてい...
ダウンロードはこちら