会社設立時の発行可能株式総数の決め方
会社設立時に必ず決めなければならないのが、発行可能株式総数です。これは今後どの程度株式を発行していくかという「枠」です。たとえば、発行済株式数が100株で、発行可能株式総数が1000株であれば、今後10倍まで株式を増やすことができるという具合です。もちろん株式の発行単価を変えることもできますので、単純に最初の資本金の10倍まで資本金を増やすことができるということを意味するわけではありません。
通常は、定款に盛り込みますが、発起人全員の同意によって決定して、決定書を作っておく形でも登記上は問題ありません。また、定款に発行可能株式総数を定めた場合、公証人の認証を受けた後でも発起人全員の同意があれば発行可能株式総数を変更することが可能です。この場合、変更後の定款について再度公証人の認証を受ける必要はありません。(ただし設立時の発行可能種類株式総数については、変更した場合は再度認証を受ける必要があります。)
公開会社でなければ発行可能株式総数に制限はありませんが、迷った場合は公開会社の4倍制限にならい、発行済株式数の4倍で設定するケースが多いです。たとえば株式数100株で発行可能株式総数400株という具合です。しかし、後述の通り、もし増資を行う際に発行可能株式総数の枠がいっぱいになると、その拡張のために登記の手間やコストがかかります。そのため、特にこだわりがなければできる限り枠を広げたほうがよいでしょう。
発行可能株式総数はできる限り余裕をもって設定する
増資を行って、発行可能株式総数がいっぱいになってしまったら、増やすことも可能です。ただしこの場合は、登記の変更が必要ですので、最低でも印紙代3万円がかかります。そのため、会社設立時にある程度余裕をもって、発行可能株式総数を設定しておけば安心です。ただし、あまりにも大きな数字で設定してしまうと、なんとなく見栄えがよくありません。そのため、大体100倍程度くらいまでが自然かもしれません。もしくは、777,777株みたいにするのも面白いかもしれません。正直、非上場の会社では発行可能株式総数をいくつにするかは社長の気分次第といってもいいかもしれません。
将来的に上場を目指すなどの場合は、新たに資本金を増やす際には、発行株価があまりにも実態とかい離していると、有利発行などで問題になる場合があります。しかし、そういった事情がなければ、創業者が新たに資本金を増やそうという場合でも、いちいち時価を計算せずに、最初に発行した単価をそのまま使う場合も多いです。