コラム

取締役が代表取締役のみを退任するには?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

代表取締役である取締役が、代表取締役のみを退任してただの取締役に変更となることがあります。会社の代替わりのほか、会社のビジネス転換により代表取締役の変更を行うケースや、共同代表のうち一人が代表取締役を退任するケースなどが考えられます。

 

代表取締役の地位のみを退任するときは、以下のような形式があります。

1)代表取締役の地位のみの辞任
2)代表取締役の地位の解職
3)各自代表の場合の代表権喪失
4)代表取締役の地位の任期満了

代表取締役の地位のみの辞任

代表取締役の地位の辞任については、取締役会の設置の有無によって必要な手続きが変わってきます。

取締役会がない会社で、定款又は株主総会の決議によって定められた代表取締役については、単に辞任届を提出するだけではなく、代表取締役の辞任または定款変更についての株主総会の承認決議が必要となります。定款や株主総会の決議で代表取締役を定めた場合は、代表取締役の就任承諾なくその者は代表取締役となります。この代表取締役は自分の意思で就任しているわけではないので、退任する場合にも自らの意思での辞任届ではなく選任したときと同じ方法で代表取締役を退任することになります。

一方で、取締役設置会社の代表取締役や、定款の定めに基づく互選によって選任された代表取締役については辞任届によって代表取締役を辞任することができます。

代表取締役の地位の解職

代表取締役の解職については、定款の変更または株主総会の決議(互選によって代表取締役を定めている場合は取締役の過半数の一致)、取締役会があれば取締役会の決議によって行います。

各自代表の場合の代表権喪失

代表取締役を定款や株主総会、取締役の互選などで選任していない株式会社では、各取締役が代表取締役となります。その場合で、新たに取締役の一人を代表取締役に選任した場合には、選任されなかった取締役は代表取締役ではなくなります。

このケースでは、代表取締役を退任するというよりは、もともと持っていた代表権を喪失するという扱いになります。

代表取締役の地位の任期満了

取締役については任期がありますが、通常は代表取締役の地位そのものについては任期は設けません。しかし、定款などに代表取締役のみについて任期を設けることが禁止されているわけではないので、そうした定めに基づいて代表取締役の任期満了による退任というケースも考えられます。(実例としてはほぼないかもしれませんが。)

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

関連記事

新着コラム

  1. 合同会社では、利益分配のほかに社員に対して払い戻す方法として、持分の払戻しと出資の払戻しがあります。
  2. 会社で社用車を固定資産として計上するには「車検証の名義が会社でなくてはいけない」ということが言われま...
  3. 定款のサンプルを見ていると、よくお金を表示する前に「金」という言葉が付いていることがあります。
  4. 株式の譲渡所得や配当所得を確定申告するとふるさと納税の限度額も上がる毎年年末になると、多くの...
  5. 合同会社は、株式会社のように不特定多数の株主からお金を集めるのではなく、出資者兼経営者である社員によ...
ダウンロードはこちら