監査役になれない者とは?
会社を設立したタイミングで監査役を設置するケースはあまりありませんが、取締役会を設置すれば必ず監査役が必要になりますし、取締役会がなくても監査役を設置することは可能です。
監査役については、取締役と同様に欠格事由(会社法その他の規定に違反して刑に処せられて、その執行を終えた日から2年を経過しない者など)があります。
それに加えて監査役の場合は、兼任禁止の規定が設けられています。
会社法 第335条
2.監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。 3.監査役会設置会社においては、監査役は、3人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。 |
取締役や使用人、会計参与などは監査役になれないということが定められています。ただし、これは兼任を禁止している規定ですので、以前その会社の取締役や従業員だった者が監査役に就任する(いわゆる横すべり監査役)ということを禁止しているわけではありませんし、監査役退任後に取締役に就任したり従業員になったりすることも可能です。
「使用人」という言葉は、会社法では明確に定義付けされているわけではありませんが、従業員など雇用関係にある者はもちろん含まれますが、そのほかにも顧問や相談役など雇用関係になくても会社の意思決定に影響を与える者も含むと解されます。通常の会社であれば、使用人=従業員と考えておけば問題ないでしょう。
取締役や使用人が監査役に就任する場合
取締役や従業員が監査役に就任する「横すべり監査役」については、監査役への就任承諾をもって、従前のポジション(取締役や従業員)を退任(退職)したものとする扱いになっています。
それでは、監査役への就任後も、なお従業員や取締役としての職務に従事しているとどうなるのでしょうか?会社法では明確に定められてはいませんが、監査役が監査すべき業務を監査役自身が執行するということは、監査役の監査も意味がないということになってしまいます。しかし、この状況で監査役が行った取引が無効であるとすると、取引相手である第三者にも大きな影響を及ぼしかねません。そのため、監査役の任務懈怠(監査役の仕事を怠ったこと)として監査役が責任を負うべきと考えられます。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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