本店所在地の登記パターン
会社設立をする際に、重要なポイントの一つが本店の所在場所です。どこに本店所在地を置くかということで会社のイメージも大きく変わってきます。
今ではバーチャルオフィスも浸透していますので、少なくとも、会社設立の際に住所として登記するところがない、といったことはありません。バーチャルオフィスであれば、月々数千円からでその住所を使うことができます。しかし、登記する住所が決まったからといって、そこで安心するわけにはいきません。なぜなら登記上の表示をどのようにするかという問題があるからです。
登記上の住所表記としては、以下のようなパターンが考えられます。
1)東京都新宿区新宿●丁目●番●号(ビル名なし、部屋番号なし)
2)東京都新宿区新宿●丁目●番●-101号(ビル名なし、部屋番号あり)
3)東京都新宿区新宿●丁目●番●号▲▲ビル(ビル名あり、部屋番号なし)
4)東京都新宿区新宿●丁目●番●号-101号▲▲ビル(ビル名あり、部屋番号あり)
戸建ての自宅を登記住所にするなら、そもそも選択の余地なく1)のパターンになりますが、そうでないようなケースではどのように決めればよいのでしょうか?
まずは「郵便が届くかどうか」で本店住所の表記を決めよう
本店所在地の表記を決めるうえで、最も重要なポイントは、ズバリ「郵便が届くかどうか」です。イメージなどもありますが、まず郵便が届かないことには話になりません。郵便が届くには、最低限会社名が郵便受けに出せるかどうかということです。
特に確認が必要なのがバーチャルオフィスです。バーチャルオフィスには郵便転送サービスというオプションがついているのが通常ですが、転送の前段階でそもそもバーチャルオフィスに郵便物が届かないということがあります。
バーチャルオフィスは個別の郵便受けを設置することは基本的にできません。バーチャルオフィスは、借りたワンフロアでどれだけの会社に利用してもらうかということが収益面から重要なので、一社一社に郵便受けを用意していては、郵便受けの数が収益の上限になってしまいます。そのため、一つのバーチャルオフィスで一つの郵便受けということになります。また、同様の理由から利用している会社名を郵便受けに表示することもできません。そんなことをしたら、数百社分を一つの郵便受けに表示することになってしまいます。
それでは、バーチャルオフィスであることを知られたくないということで「東京都新宿区新宿●丁目●番●号」のように登記するとどうなるでしょうか?この場合は、この住所表記では郵便物が届かないということになります。特に、金融機関など本人確認を重要視するような郵便物は登記上の表記そのままに郵送されますので、手元まで届かない可能性が高いです。
バーチャルオフィスを利用する際には、ビル名、もっと安心のためにはバーチャルオフィス名までを本店住所に含めて登記するとよいでしょう。イメージのためにバーチャルオフィスであることを隠したいといった人もたまにいらっしゃいますが、ネットで検索すればすぐにバーチャルオフィスだと分かります。
その他の形態、例えば賃貸オフィスなどであれば、個別の郵便受けがあるでしょうから、その郵便受けに会社名を表示することができれば、たとえ本店所在地にビル名が入っていなかったとしても郵便物が届かないということは避けられるでしょう。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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