コラム

取締役会の招集、決議方法や決議内容

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取締役会の招集

取締役会の招集は、各取締役が行うことができますが、定款や取締役会で招集する取締役を決めた場合は、その取締役が招集権者となります。

招集については、取締役会の日の1週間前までに招集通知を出す必要がありますが、定款で下回る期間を定めることができます。さらに、取締役(監査役会設置会社であれば、取締役+監査役)全員が同意すれば、招集手続をとらずに即日開催も可能です。

取締役会の決議

取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う、とされています。

「議決に加わることができる」と定められているのは、取締役の競業取引や利益相反取引、その取締役が持つ譲渡制限株式の譲渡承認、代表取締役の解職決議においては、当事者である取締役は議決に加われないためです。

取締役会は、株主総会のように代理出席は認められず、取締役本人が出席する必要があります。経営に関する会議なので当然といえば当然です。

もし取締役が偶数で、議決が同数になった場合はどうなるのでしょうか?この場合は過半数要件を満たしませんので決議できないということになります。「同数の場合は議長に一任する」といった定めは取締役会では認められません。

また、特定の取締役が賛成することを決議要件に加える(株式でいう黄金株のようなもの)ことも認められません。

取締役会の決議の省略

決議の内容次第では、取締役会を実際に開催して議論するということまで必要ないこともあるかもしれません。その場合は、定款に定めることで、書面やメールなどで同意の意思表示をすることで、取締役会の決議があったものとみなすことができます。

この決議の省略は、定款に定めがないと行うことができません。もともと取締役会は経営についての協議を行う場であり、メールなどで賛成を述べるだけでは、十分な議論を尽くしたとは言えません。そのため、決議の省略は例外的な位置づけになっているのです。この点は、株主総会の決議の省略が定款に定めがなくてもできるのと異なる点です。

ただし、監査役設置会社では、監査役が異議を述べた場合は取締役会の決議があったことにはなりません。(監査役の監査範囲が会計のみの場合は、監査役設置会社ではないので、関係ありません。)この場合は、改めて取締役会を開催して協議することになります。

取締役会の職務や決議内容

取締役会は、全取締役で構成し、次の職務を行います。

  1. 取締役会設置会社の業務執行の決定
  2. 取締役の職務の執行の監督
  3. 代表取締役の選定及び解職

代表取締役の選定が取締役会の職務になっていますが、定款に定めがあれば、株主総会で代表取締役を選定することも可能です。

また、以下の決定は取締役個人に委任できず、取締役会で決定する必要があります。

  1. 重要な財産の処分及び譲受け
  2. 多額の借財
  3. 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
  4. 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  5. 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
  6. 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
  7. 第426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除
会社法 
第366条

  1. 取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する。
第368条
  1. 取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
  2. 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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