会社を設立したら社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することが義務づけられます。社長一人だけの会社でも役員報酬を受け取っていたら、加入しなければいけません。(まれに社長一人で会社設立して1年目は役員報酬を支給しないという起業家がいらっしゃいます。この場合は、健康保険・厚生年金保険の加入義務はないと解されます。また、非常勤役員がいる場合、常勤側で加入し、非常勤として加入する必要はありません。)また、法人でなくても常時従業員を5人以上雇用している個人事業主(一部のサービス業、農林・水産業などは除く)にも加入の義務があります。
「自分は病院にかからないし、年金もいらないから入らない。」という考えも通りません。個人的な考えはともかく、制度の趣旨が生命保険などのように自分のためだけに支払うものではなく、社会のために支払っている保険料だからです。
パートやアルバイトの加入要件
パートやアルバイトの場合は、勤務実態(労働時間や労働日数)で判断します。1日または1週間の労働時間(または1ヶ月の所定労働日数)が、同じ事業所で業務をしている一般従業員の概ね4 分の3以上の場合は、パートやアルバイトであっても加入対象として手続きをします。
1日当りの労働時間 | 1ヶ月当りの労働日数 | 加入する制度 |
正社員の概ね3/4以上 | 正社員の概ね3/4以上 | 健康保険・厚生年金保険 |
正社員の概ね3/4以上 | 正社員の概ね3/4未満 | 国民健康保険・国民年金 |
正社員の概ね3/4未満 | 正社員の概ね3/4以上 | 国民健康保険・国民年金 |
正社員の概ね3/4未満 | 正社員の概ね3/4未満 | 国民健康保険・国民年金 |
家族の扶養に入ろうとする従業員がいる場合は、以下の表を参考にしてください。
健康保険 | 年金関係 | |
労働時間・労働日数 ともに3/4以上 |
従業員自身が健康保険に加入する必要あり | 従業員自身が厚生年金保険に加入する必要あり |
労働時間3/4未満 かつ年収130万円未満 |
健康保険の被扶養者となれる | 保険料納付の必要なし |
労働時間3/4未満 かつ年収130万円以上 |
国民健康保険に加入する必要あり | 国民年金に加入する必要あり |
106万円の壁は設立したばかりの会社には関係ない
2016年10月から社会保険への加入義務の拡大が行われ、以下に該当するパートも加入義務が発生します。
1.勤務時間が週20時間以上
2.1カ月の賃金が8.8万円(年収106万円)以上
3.勤務期間が1年以上見込み
4.勤務先が従業員501人以上の企業
5.学生以外
この要件の中で、「従業員501人以上」というところに注目です。設立したばかりの会社で501人も社員がいるなんてことは、大手が分社化するケースを除けば通常あり得ません。なので、起業家にとっては特に気にすることはないといえます。