平成27年4月1日より、「投資・経営」の在留資格取得の要件が大幅に緩和され、外国人が起業・会社設立しやすくなりました。
登記申請においては、海外在住の人だけで会社設立が可能となりましたが、在留資格の規制緩和によって、さらに外国人のビジネスはしやすくなったといえます。
また、この変更に合わせて、在留資格の名称も「投資・経営」から「経営・管理」に変更されました。
変更点その1 500万円の資本金要件の撤廃
これまでは、外国人が500万円の自己資金を用意する必要がありました。しかし、この要件が撤廃され、外国人自身が出資しなくてもよくなりました。この代わりの要件として、「常勤従業員2名以上の雇用、または500万円以上の投資加入もしくはそれに準ずる規模」となりました。つまり、実質的には500万円の要件は残っていますが、出資者が日本人でも大丈夫ということになります。
変更点その2 会社設立前でも「経営・管理」の申請が可能
これまでは、「投資・経営」の申請には、設立した会社の登記事項証明書の提出が必要でした。このため、来日前だったり、たとえ来日しても3ヶ月以下の在留期間しかなかったりする場合(短期滞在ビザ等)は、銀行口座が作成できず、その結果、一人で会社を設立することができなかったのです。
今回、この点も改正され「経営・管理」取得の申請において、まだ会社設立していない場合でも、定款など事業開始が明らかになる資料を提出して、申請できるようになりました。
変更点その3 「経営・管理」の在留資格に4カ月の在留期間が新設
「投資・経営」の最短の在留期間は6ヶ月でしたが、 今回の改正で「経営・管理」の在留期間に4ヶ月が新たに設けられました。 この趣旨は、変更点その2で書いたように、定款を提出して会社設立前に、在留資格の申請をした申請者には在留期間4ヶ月の「経営・管理」の在留資格を与えることで、入国後に会社設立登記 を行う機会を与えようとするものです。いわば、会社設立のための臨時の在留資格といえます。
実務上は、「経営・管理」の申請者本人、または司法書士などの代理人が日本で定款の認証手続きを行い、その定款を添付して「経営・管理」の在留期間4ヶ月の在留資格を取得することができるようになりました。 さらに、この「経営・管理」の在留資格により在留カードを取得し、それを提示して銀行口座を開設し、会社設立に必要な出資金の払い込みが可能となります。また、在留カードにより、住民票登録や印鑑証明書取得も可能となります。このように、4ヶ月の在留資格を使って、会社設立のための下準備ができるのです。
こうして、会社設立の登記申請を行い、登記事項証明書が取得できれば、通常の「経営・管理」の在留資格の申請が可能となるのです。