下請法とは、下請代金支払遅延等防止法の略称です。その名の通り、下請業者を使っている元請業者を規制している法律です。下請けとはいってもすべての元請・下請関係を規制しているわけではなく、以下の関係にある場合のみ規制しています。
物品の製造・修理委託及び政令で定める情報成果物・役務提供委託(プログラムの作成や運送・物品の倉庫保管・情報処理)を行う場合
親事業者 | 下請事業者 |
資本金3億円超 | 資本金3億円以下または個人事業者 |
資本金1,000万円超3億円以下 | 資本金1,000万円以下または個人事業者 |
政令で定められたもの以外の情報成果物作成・役務提供委託を行う場合
親事業者 | 下請事業者 |
資本金5,000万円超 | 資本金5,000万円以下または個人事業者 |
資本金1,000万円超5,000万円以下 | 資本金1,000万円以下または個人事業者 |
資本金1,000万円超であれば、親事業者に成り得ます。消費税の関係で資本金1,000万円未満で会社設立する場合が多いので、起業してすぐ親事業者になるケースは少ないかもしれません。しかし、知らない間に親事業者の定義を満たしているケースもあり得ますので、注意が必要です。
とはいっても、どちらかというと会社設立したばかりのときは、自らが下請事業者となる場合が多いかもしれません。違法とわかっていても仕事を出してくれる手前言いにくいかもしれませんが、内容程度は把握しておきましょう。
親事業者に該当した場合、下請事業者に対して以下の義務が発生します。
義務 | 内容 |
---|---|
書面の交付義務 | 発注の際は,書面を交付すること。 |
支払期日を定める義務 | 下請代金の支払期日を給付の受領後(請求書を受け取ってからではなく)60日以内に定めること。 |
書類の作成・保存義務 | 下請取引の内容を記載した書類を作成し,2年間保存すること。 |
遅延利息の支払義務 | 支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと。 |
また、親事業者に該当した場合、以下の行為が禁止されます。もちろん下請事業者の同意を得てもやってはいけません。(強行法規)
・注文した物品等の受領を拒むこと(受領拒否)
・下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと。(支払遅延)
・あらかじめ定めた下請代金を減額すること。
・受け取った物を返品すること。
・類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること。
・親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること。
・下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して,取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること。
・有償で支給した原材料等の対価を,当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること。(早期決済)
・一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。
・下請事業者から金銭,労務の提供等をさせること。
・費用を負担せずに注文内容を変更し,又は受領後にやり直しをさせること。