多くの起業家は、会社設立するにあたって、それまでの経験を活かしたビジネスを始める場合が多いです。
元いた会社から「同じ業種で開業するな。」のような圧力がある場合もありますが、もちろん憲法にもあるように職業の選択は自由であり、そこに制限をかけることは原則としてできません。
しかし、たとえば独立開業するにあたって、顧客情報や価格表、業務マニュアルなどを持ち出すような場合には、不正競争として問題になる場合があります。特に、顧客情報を利用して、元いた会社の内部的情報をばらして顧客を奪うような行為は、起業家として絶対にやってはいけません。
不正競争防止法は、このような営業秘密の持ち出しのほか、次のような行為が不正競争行為として定められています。
・他社の有名な商品名やロゴ、看板などを模倣して、消費者を混同させる行為
・他社の有名な商品名などを自己の商品などに表示する行為(この場合、混同がなくても、ブランドイメージの悪化などを伴うため禁止)
会社を設立する場合、商号やロゴが有名な他社とかぶらないように気を付ける旨書かれている書籍もあります。さすがにわざと有名な会社を彷彿させるような社名を付ける例はありませんが、知らないところで、混同が生じているかもしれません。社名、オリジナル商品名、サービス名などをネットで検索するくらいはやっておいた方がいいでしょう。それでも心配なら弁理士などの専門家に確認をしてみるとよいかもしれません。
ちなみに、他社と商号と本店所在地が同じ会社は登記できないという規定もありますが、これは会社設立の登記のハナシで、不正競争とは全く別です。不正競争は名前がズバリ同じでなくても該当してくる場合があります。
実際には、設立されたばかりの会社だと混同が生じたとしても影響が軽微で訴える側のメリットもほとんどないので、ある程度大きくなってから訴えてくる例などもあるようです。