設立手続きで最も質問が多い書類がこの書類です。
会社設立の際、発起人の個人口座に資本金を入金します。この書類は、確かに発起人全員が出資金の全額を振り込みましたということを証明するものです。
この書類は、表紙に通帳コピーを付けて法務局に提出します。以前は表紙とコピーの間に契印が必要でしたが、行政での押印廃止の流れの中で、ページ間の契印については廃止されましたので、表紙だけ押印しておけばよいということになります。
最近ではネットバンクを使う方も増えてきました。ネットバンクの場合は、画面のプリントアウトも使えます。ネットバンク画面を使う場合は、
1)銀行名
2)支店名
3)口座種類と番号
4)名義人(発起人であること)
が画面に出ていることを確認してください。
また、入金する口座については発起人名義の個人口座(発起人が法人の場合は法人口座)です。新しく設立する会社名義の口座は、会社設立登記が完了して、登記簿謄本を取得しないとできません。会社口座ができるまでの間、発起人名義の口座で預かっておくことになります。
最も望ましいのは、会社設立のために一つ口座を作ることです。もしくは、持っている口座のどれかの残高を0円にして、その口座を使うという方法も考えられます。そこに出資金を集めて、会社の口座が出来上がるまでは、そこから会社関連の支払いや入金などを行います。会社口座ができれば、残高を全て会社口座に振り込むという流れになり、お金の動きも把握しやすいです。
法務局に提出する際に注意するポイントは以下の通りです。
1人社長の会社では預入れでOK
発起人が1人でそのまま代表取締役になる会社では、振込口座の名義と出資者の名義が一致します。この場合は、預入れでも大丈夫です。ただしATMの場合、1回の預入れに限度額があります。資本金の額によっては、数回に分けて入金する必要があるかもしれません。
これは、発起人が複数の場合にもあてはまることですが、入金は1回で済ませる必要はありません。200万円の資本金であれば、100万円ずつ2回に分けて入金しても手続き上問題はありません。結局合計で、資本金以上の入金があれば、会社設立登記については問題ありません。
入金額はピッタリでなくても大丈夫
入金については、出資額とピッタリ一致している必要はありません。例えば発起人Aの出資額が200万円のところ、201万円を入金しても登記手続き上問題ありません。もちろん199万円のように下回ってはいけません。
残高ではなく、入金履歴が必要
口座に資本金分の残高があっても、入金履歴がないと出資とはみなされません。複数の出資者の場合だけでなく、出資者が一人の場合であっても自分の口座に資本金額以上の入金履歴を作ることになります。引き出してすぐ預け入れる形でも問題ありません。
入金する際の名義は、発起人でなくても大丈夫です。例えば、山田 太郎さんが発起人の一人の場合に、振り込む時間がなくてとりあえず妻の山田 花子さんに振り込んでもらった場合、通帳には、ヤマダ ハナコと表示されたとしても、山田 太郎さんの出資として扱うことができます。この例のように振り込み作業を誰かにお願いすることはあり得るからです。また、発起人の一人が現金で預かって、まとめて振込みや預入れをすることも問題ありません。
発起人の一人に現金を渡したからといって、もちろん贈与などの問題は発生しません。株式という対価を受け取るからです。
ただし、出資関係を客観的に明確にしておくために、できる限り各発起人が自分の名前で発起人代表の口座に振り込む形にするのがよいでしょう。
ただし、合同会社の設立については、上記のような通帳コピーなどではなく領収書だけでも登記手続きが可能です。