拒否権付種類株式とは?

拒否権付株式とは?

株主は、原則として1株1議決権です。しかし、その例外として存在しているのが拒否権付株式です。拒否権付株式とは、株主総会(取締役会設置会社では株主総会または取締役会)において決議すべき事項について、その決議のほかに拒否権付株式の種類株主総会の決議があることを必要とする株式です。

つまり、株主総会で決議されたとしても、拒否権付株式の種類株主総会での決議が行われない限り決議が有効にならないということです。

拒否権付株式は「黄金株」と呼ばれることがあります。拒否権付株式を1株だけ発行して、その株式を創業者や特定の株主が保有することで、すべての株主総会の決議についての決定権を拒否権付株式の株主が持つことになります。そのため、その1株の力で、他の株主の決議を覆ることができるほど非常に強力であり、黄金株と呼ばれます。

拒否権付株式は、1株持っているだけで株主総会の決議を左右することができます。そのため、ベンチャー企業で少数株主の支配権維持のためや、業績の立て直しのために経営に投資した株主が株主総会の決議に最終決定権を持つためなどに活用されます。

拒否権付株式の定款記載

ほかの種類株式と同様に、拒否権付株式を発行するには定款の定めが必要であり、その定めは登記する必要があります。定款で拒否権を与える事項と特定する方法と、定款では要綱の見定めて、拒否権を与える事項は別途定める方法の2パターンがあります。また、いずれの場合でも拒否権付株式の内容は登記事項となります。

拒否権を与える事項を特定する記載

当社が、以下に掲げる行為をする場合においては、株主総会または取締役会の決議のほか、A種種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする。

(1)会社法第309条第2項各号に規定される事項

(2)会社法第309条第3項各号に規定される事項

(3)会社法第309条第4項に規定される事項

(4)役員の選任または解任

(5)重要な財産の処分及び譲受け

定款では要綱のみ定める記載

当社が、甲種類株式の発行に際して株主総会(または取締役会)の決議で定める事項について、法令又は定款で定める決定機関で決議するときは、当該決議のほかに、甲種類株式を有する株主を構成員とする種類株主総会の決議を要する。

 

新着コラム

  1. 事業目的を定款に記載するときの「及び」と「並びに」の違い定款に事業目的を記載するときは、法律...
  2. 会社設立前に資本金を使えるケース会社の設立を決めてから会社設立を実際に登記申請するまでには一...
  3. 一人で出資して一人で代表取締役となっている会社は数多くあります。
  4. 合同会社に「社員総会」は存在しない株式会社では投資家の意思決定は株主総会で行います。
  5. 役員重任する際の株主総会のパターン株式会社では、取締役の任期は最長でも10年間と定められてい...
ダウンロードはこちら