これから会社を設立しようとする起業家のみなさんがもっともこだわりたいものの一つ、それは社名ではないでしょうか。社名は、正式には商号と呼ばれます。近年では、アルファベットや数字、記号などの文字を使うことも認められるようになり、自由度が上がったため、昔に比べてより個性的な商号が増えてきました。商号は、どのように決めればよいのでしょうか?
商号を決める時のルール
まず商号を決める上での基本ルールとしては、次のような点があります。
・設立する会社の種類(株式会社や合同会社など)は必ず入れる
・「!」や「?」、「@」などの記号は使用できない
・「銀行」「信託」「保険」は、実際にこれらの業種でないと使用できない。
それでは、このルールのほかにはどんなポイントがあるのでしょうか。
まだイエ電がメインの通信手段だったころは、商号を決めるときは、電話帳で最初に目に留まるようにあ行で始まるものが好まれました。今ではインターネットにとってかわられましたので、商号を決めるときに頭文字を考慮するなんてことはなくなりました。
インターネットのサイト名も、サービスに合わせて会社の公式ホームページとは別に作るのが当たり前となり、昔ほど商号が表に出てくることはなくなりました。その分商号は好きな言葉を入れたり、ごろ合わせや造語を用いたりと自由につけるケースが増えてきました。このとおり、特に一人起業の場合などでは、ブランディングや広告宣伝の点からは商号の重要性は低くなったといえます。
以前は、同一市区町村内で同一の事業を行う場合には登記できない、類似商号規制というものがありました。平成18年の会社法の施行で、この要件は大きく緩和されました。今では、既に登記された商号と同一であり、本店所在場所も同じであるときは、登記することができないといったものになっています。つまり同じビル内で同じ商号の会社は登記できませんといったことです。裏を返せば、隣り合うビルで、まったく同じビジネスを行うまったく関係のない会社が同じ商号でそれぞれ登記することも、会社法上は可能となります。
今では法人番号検索サイトで、簡単に登記されている会社のリストを出すことができるようになりました。このため、同じ社名や似たような社名があるかといったことは、サイトで検索すればわかります。厳密には、法務局での会社設立の登記が完了してから、法人番号検索サイトに反映されるまでの時間は数時間ですがかかりますので、完全に検索しきれているわけではないですが、ごく一部の話なので、ほぼ検索できていると考えて問題ないでしょう。
ただし、自分が考えている社名で会社設立の登記上問題がないからといって、すなわち法的な問題がないとは言い切れません。法務局の審査は、あくまで上記の同一住所・同一商号の規制を対象としています。ほかの法律で問題が生じうるような事態については、自己責任ということになります。詳しくはこちら