2006年に施行された新会社法では、最低資本金制度が撤廃され、資本金1円でも会社(1円会社)をつくれるようになりました。あたかも1円を用意すれば社長になれるようで、言葉としては魅力的です。(もちろん印紙代などの会社設立費用は資本金額に関わらずかかります。)では、実際に資本金1円の会社をつくり運営できるかを検証してみましょう。
先ほども解説したとおり、資本金とは会社の事業を行ううえでの元手です。元手が1円では基本的にペン1本も買えないことを認識してください。自己資金1円では創業融資の審査も通りません。そのため1円会社では、事業で使うお金は、すぐに社長のポケットマネーから貸し付けることになるのです。結局すぐポケットマネーからお金をだすのであれば、「1円で会社を設立しました。」なんて言っても、実態は自己資金1円というわけではないので、何の自慢にもなりません。実際には、1円以外にも自分のお金を会社のために使うのであれば、その金額も最初から資本金として登記すべきです。
このように資本金1円の会社は、設立登記はできますが、事業を行う際にはかなり無理がある状態となります。(ハナシのネタとしては面白いかもしれませんが。)とはいっても、さすがに10年以上前の改正なので、最近の起業相談でも、資本金1円の話が出てくることはほとんどなくなりました。
言葉のイメージに流されないよう注意しましょう。通常の状態で事業を行うには十分な自己資金をもとに始めることが重要です。