事業目的とは、その会社が行う事業内容のことです 。会社は、この事業目的の範囲内でのみ活動できると定められています。設立してすぐに展開することを決めている事業だけでなく、将来的に行う可能性があるすべての事業を記載します。
ただし、売上とは関係がないことは入れる必要はありません。たとえば、難民支援のために利益を寄付しようと考えているような場合でも、あくまで事業の結果利益が出れば、の話ですので、事業目的に寄付に関することを入れる必要はありません。目的なんて言葉を使っていますが、一言でいえば、「どんなことをして売上を上げていくか?」ということです。
例えば、飲食店を起業しようとする場合に、将来的には事業を拡大して、フランチャイズ展開も考えている場合などは、フランチャイズに関する項目も会社設立の段階で、事業目的に入れておきます。
事業目的を決める際の守るべきポイントは、適法性・営利性・明確性の3点です。
ポイントその1 適法性
商号と同様に、公序良俗に反する事業目的は認められません。(犯罪に関連するものや、わいせつなものなど)
(登記事項証明書はだれでも取れるものですので、さすがに人目に触れて困るものを登記しようとする方は少ないとは思いますが。)
また、ほかの法律により特定の業種の独占業務とされているもの(士業(「○○士」の肩書が必要なもの)の業務など)も認められません。
ポイントその2 営利性
会社は営利目的の組織であるため、ボランティアや寄付などの活動は会社の事業目的として認められません。利益を株主などの出資者に還元することこそが会社にとって求められるので、当然と言えば当然かもしれませんね。
もちろん、事業の結果利益が出れば、会社として寄付することはできます。(この場合、寄付した金額の全額が経費に入れられるとは限りません。)
もし営利を追求しないのであれば、会社ではなくNPO法人や一般社団法人などの設立を検討しましょう。
ポイントその3 明確性
事業目的は、一般に広く認知された語句を用いて記載する必要があります。誰が読んでも意味を理解できるようにしておきましょう、ということです。
略語は、一般人が見て理解できる表現にしましょう(たとえば「FC」は「フランチャイズ」にするなど。)。ただし、「CD」など一般的に使われている語句は、使用可能です。
以前は、具体性という要件もありました。具体性とは、意味が明確なだけでなく、だれが読んでも事業の内容が具体的にわかることが必要でした。しかし、今では具体性の要件はなく、「飲食店」「小売業」のように、単語だけでも登記できるようになりました。事業に幅を持たせるために、あえていろいろと解釈できる言葉を使うということも、事業目的を決めるポイントの一つです。