会社を設立した際に、株主同士で株式の取り扱いなどについて契約を結ぶことがあります。これを「株主間契約」といいます。
そもそも株主の権利や義務については会社法に規定されているので、その規定に従うことになります。しかし、例えば株式の譲渡制限の規定や議決権の規定などについて、会社法の規定を当事者間で修正したいといったニーズもあります。そんなときに用いられるのが株主間契約です。
会社法には、必ず守られなければならない強行規定と当事者間で修正可能な任意規定があります。強行規定に反する株主間契約は株主間契約の当事者株主の間でのみ効力を生じる(場合によっては無効)となりますが、任意規定については株主間契約が優先されることになります。
株主間契約の種類
株主間契約の種類には主に以下のようなパターンがあります。
1)会社設立時などに創業株主同士で締結する株主間契約
2)増資を受ける際などにVCファンドなどの投資家が既存株主などとの間で締結する株主間契約
3)会社同士でジョイントベンチャーを開始する際に会社同士で締結する株主間契約
株主間契約の内容
株主間契約の内容は大きく分けて2つに分けられます。
一つは会社運営に関する規定です。そしてもう一つが株式の譲渡制限に関する規定です。
特に会社設立時などに創業株主同士で締結する株主間契約においては、定款上の譲渡制限の規定に加重して、株主間契約によって株主ごとに譲渡制限の要件を加重したり、特定の状況が発生した場合に強制的に譲渡が行われたりといった内容の定めが設けられます。
株主間契約に違反した場合は?
株主間契約は、株主同士の契約です。その内容に違反した場合は株主間契約の内容に従って違反した株主に対してペナルティを課すなどの対応が行われます。
しかし、会社法に基づく定款の定めに違反した場合と異なり、株主間契約の違反は当事者同士の債務不履行問題となり、当事者株主の行った行為についての効力発生には基本的には影響を及ぼさないということになります。
株主間契約の規定をもとに当事者株主の行為を差し止めるということは困難ですが、それでも株主間契約を締結しておくことで、既存株主に一定の義務を負わせるという意味で株主間契約は有効といえます。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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