コラム

見せ金と預合いで資本金を登記することの問題点

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株式会社を設立する際には、出資金を払い込んで、その払い込んだことが分かる証明書を法務局に提出しなければなりません。この場合、Aが発起人になるなら、Aの自己資金で払い込みを行うことが必要です。

しかし、払い込んだお金がAの自己資金ではなく、借りたお金で形だけ払い込んだことにする仮装払い込みで会社設立の登記が行われることがあります。

仮装の払い込みの代表例が見せ金です。見せ金とは、他者から借りてきたお金で払い込んで、会社設立の手続きが終わると、そのまま引き出して返済してしまうケースです。もともと資本金にするつもりがないお金を登記手続きのためだけにやり取りして、結局設立した会社には、資本金に見合った現金が残らないということになります。

預合いは、金融機関の職員と結託して、発起人個人がお金を借りて、それを元手に払い込みを行って、返済が終わるまで払い込んだ出資金を引き出さない合意をすることです。

預合いについては、金融機関も絡みますので今ではほぼありませんが、見せ金は仮装払い込みの代表例として、しばしば行われているのが現状です。

それでは、見せ金はどのような問題が生じるのでしょうか?

まず株式会社設立登記の手続きとしては、見せ金であっても、通帳やネットバンキングの履歴に入金が記録されていれば登記はできてしまいます。登記申請では、見せ金かどうかの実態までは審査の対象ではないのです。

では、会社法的にはどうでしょうか?

会社法では、発起人は、「払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払」をする義務を負う旨が規定されています。しかし、会社設立で見せ金を使うケースは多くが一人社長の会社か、仲間内での設立です。もともと見せ金であることを分かったうえで設立しているので、発起人間で問題になることがほぼありません。

結局、見せ金が問題になるのは、創業融資を借りようとしているケースや、会計の処理です。見せ金はもちろん自己資金とは見られないので、融資では問題になりますし、会計上も、資本金が会社口座に振り込まれないまま、発起人への未収入金として残ってしまいます。

見せ金で資本金を大きく見せたところで、実態が伴っていなければどこかでほころびが出てきます。会社を設立するには、まずはしっかりと自己資金を貯めることが重要ということです。

税理士・司法書士 渋田 貴正

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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