コラム

定款などでお金を表現する際に「金」という言葉が付いている理由

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定款のサンプルを見ていると、よくお金を表示する前に「金」という言葉が付いていることがあります。例えば「金100万円」のような感じです。

この「金〇円」という記載は他のところではあまり見かけない定款や法律文書などに独特の記載方法です。

この頭についている「金」という文字ですが、円マークの代わりに使用されています。「金」と頭につけておくことで、後日金額を追記できなくなります。もし「金」とついていなければ、「10,000円」と書いてある部分を「1,010,000円」と書き換えることもできてしまいます。そうしたことを防止するために「金」と記載しておきます。

それでは円マークでよいのではということもありますが、「金」という表現を使うことで、文書全体の信頼性や正式性が高まります。法的文書では、簡素すぎる表現よりも格式を重んじるということです。また、これはデジタル時代特有かもしれませんが、円マークはまれに文字化けの原因となります。その意味でも「金」という文字を使うことには意味があります。(もちろん今のようなデジタルが当たり前の時代より前の手書き時代から用いられてきた慣習ではありますが。)余談ですが、外国会社などの設立時には外国では円マークのフォントはさらに文字化けのおそれがあるため、「JPY」といったアルファベットで通過を表示することが一般的です。

これはお金以外のものを金額換算する際にも用いられます。例えば現物出資で自家用車を100万円と評価した場合も、「車両 その価額金100万円」のように定款に記載します。

この「金」という表現は円マークの代わりに使われる法的な表現と考えておけばよいでしょう。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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